このサイトはNPO法人(特定非営利活動法人)であるEARTH WORKS SOCIETY が提供しています
〜「世界のシャーマン便り」宮本神酒男 <グルン・ボン・ラマって誰?>
数々のシャーマンや祭司に会ってきたけれど、もっとも謎めいた存在がネパールのグルン族のボン・ラマだ。この強烈な存在感をもつ老人は、現存するわずか数人のボン・ラマのうちのひとりである。たまたま知り合いの若い学者の祖父であったため、ネパール・ポカラの自宅を訪ねる機会があった。 チベットやネパールに興味のある方ならお気づきかもしれないが、ボンはおそらくチベットのボン教と同源である。あるいはタマン族のシャーマン、ボンボともとはおなじだろう。もっとも、ボンポ(ボン教徒)とボンボがそもそも同源かもしれないが。 しかしこのボン・ラマはあくまでも仏教徒なのだった。グル・リンポチェ(パドマ・サンバヴァ)を崇めていることから推察すると、チベット仏教ニンマ派に近いのではないかと思われる。 ボン・ラマは自身を35代目とする系図をもっていた。初代はサキャ・ラマだった。おや、チベット仏教サキャ派なのかな、と一瞬思ったが、サキャとは釈迦のことだった。何代目かにはミラレパの名も出てくる。いうまでもなく12世紀頃のチベットの修行僧であり詩人である。この系図は驚きだが、どちらかといえば胡散臭いという印象をもった。 おそらく何代か前までは、純粋なシャーマンだっただろう。シャーマンとしての儀礼や伝承が失われてしまったのは残念でならない。しかしこの中途半端な仏教徒ボンもまた珍奇な存在として後世まで残されるべきだろう。幸い、甥など3人の弟子がいるようだ。
たぶんチベット学者も知らないであろう珍しいネパール・グルン族のボン・ラマ。
”ばんざい人”一覧へ戻る
HOMEへ戻る
Back number<1-23>