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エベレスト2008 
 この春再び三浦雄一郎さんに同行してエベレストに行ってきました。ご存知のように三浦さんは見事75歳で2度目の登頂を果たしました。私は5年前と全く同じカラパタールから望遠レンズでその様子を撮影することになりました。その壮挙の一方息子の豪太さんは高度障害である脳浮腫、肺水腫に見舞われ登頂することはできませんでした。ダメージをうけた身体での8000mを超える高所からの脱出行はどんなにか大変だったことでしょう。彼の下山を支えたのは体力、精神力、冷静な判断力であったのはいうまでもありませんがそれとともに普段からの知的好奇心、研究心であったと思えるのです。豪太さんはデキタメタゾンという脳浮腫を改善させるステロイド薬を遠のく意識の中、力の入らない手でダウンウエアの上から自らの脚に注射しました。 
その薬を持参したいきさつは姉の恵美里さんから薦められて読んだ一冊の本にあったといいます。「ラスト・ブレス」というその本には高度障害で死にそうになっている登場人物にデキタメタゾンを注射する場面がでてきます。それを読んだ豪太さんはドクターに相談してその薬を持っていくことに決め、注射のてほどきもうけていました。もっともその時点では自分自身に注射することになろうとは想像していなかったと思われますが。
 「ラスト・ブレス ー死ぬための技術ー」という本を私も帰国してからすぐに読みました。死ぬための技術という恐ろしい副題がついていますが高山病、潜水病、雪崩、熱射病など11項目のアウトドアースポーツででおきうる危険で死にいたる状況を物語り風に克明に科学的にそして歴史や統計もおりこみつつ描いていく大変興味深い本です。読み物として優れているとともに、アウトドアーで活動する人にとっては危険を回避するための多くの示唆が織り込まれています。 豪太さんは遠征中に生まれた息子の雄豪くんと帰国後初めて対面しました。無事に下山でき後遺症も無かったことは本当に喜ばしいことでした。

  三浦豪太さん
 
 ラスト・ブレス

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