|
〜第三十五回「パソコンの無くなる日」〜
つい先日、家のパソコンが突然クラッシュ・ダウンしてしまいました。何とかならないものかとメーカーのテクニカル・サポートに電話しましたが、「それはもう駄目です、新しいのを買ったほうがいいですよ。データは大丈夫のものもあるでしょうから、早く保存したほうがいいです」とつれない返事。とにかくデータだけでもと、友人のM氏に協力してもらい9割ほど助かりましたが、メール関係はだめのようでした。何百人分のアドレスも、保存していた1000通ほどのメールも消えてしまいました。そして、新しいパソコンが届くまで10日以上かかるとか。
それまで、パソコンに大変お世話になっていたぼくは、通信手段がなくなり茫然としたものでした。でも、大切な原稿や資料は助かったようだし電話もあるわけだし、しかたないことだし諦めようと、パソコンなしの生活に入りました。
その結果、電話で話す時間が増え、電子メールによる無機質な空間でのやり取りが、生の声でのものに変わりました。あらためて、感情のこもった温かみのある人の声の良さを感じました。また、何時間もモニターとにらめっこしていた時間がなくなり、読書や手紙を書く時間も増えました。気分的にもゆったりとし、一日の時間を有意義に過ごしているような気分です。パソコンに没頭せざるをえなかった自分を取り戻し、本来あるべき人間らしい生活に戻ったような気がしたものです。
そして新しいパソコンが届き、モニターを前に期限遅れの原稿を書いています。あらためて、パソコンの便利さと威力を味わっていますが、パソコンのなかった時間を懐かしく思うのも事実です。週に何日かパソコン休日があってもいいなと、まじめに考えているところです。
|